2016年10月に、ITコーディネータ協会から「IT経営推進プロセスガイドライン(旧名称:ITコーディネータプロセスガイドライン)」の新版(Ver3.0)が発行されました。ITコーディネータの資格試験は2017年8月からVer3.0準拠に切り替わる予定なので、ITコーディネータの試験を受ける予定の方はご注意ください。
プロセスガイドラインとは、IT経営を推進する際のガイドラインのことで、ITコーディネータのケース研修では実際のプロジェクトに近い事例(ケース)を通じてプロセスガイドラインを疑似体験してもらうという内容になっています。
■ガイドラインの対象読者は中小企業の経営者
今回の改定での大きな変更点は2つあります。
1つめは、ガイドラインの対象者をITコーディネータから中小企業の経営者に変えたことです。
IT経営の実現には経営者の意識は非常に重要です。そのため、プロセスガイドラインの対象読者を中小企業の経営者にすることで、経営者の皆様にもっとIT経営に関心を持ってもらい、実際に推進していただきたくことを狙っています。
前版(Ver2.0)までのプロセスガイドラインは、ITコーディネータを対象読者としていたため、各プロセスでITコーディネータはどのような役割を担うのか、といったことが記載されていましたが、新版では経営者、もしくは企業内におけるIT経営推進者が直接読んでも参考人なる内容になっています。
■システム観点から経営観点に
2点目が、対象読者を経営者としているため当然ではありますが、全体がより経営観点に変更されたことです。
前版では、システム開発を想起させる「IT調達」や「IT導入」というプロセスが含まれており、どうしてもシステム観点と捉えられてしまうことが多かったのですが、新版のプロセスは「経営戦略プロセス」「業務改革プロセス」「IT戦略プロセス」「IT利活用プロセス」に修正されています。
また、旧版ではIT経営の各プロセスが順番に進むような記載となっていたため、システム開発でいうウォーターフォールのイメージを与えてしまい、ビジネス環境の変化が激しい昨今の状況には合わないのではないかという声がありました。
新版では、ガイドラインに定められた各プロセスを独立したプロセスとしたことでウォーターフォールのイメージを脱却し、アジャイルなどの対応でも違和感なく使えることを想定しています。
今後、ITコーディネータ協会ではビジネス環境の変化のスピードについていくため、プロセスガイドライン改定のサイクルを短くしていくことを想定しています。
プロセスガイドラインについての詳しい情報は、ITC長野までお問い合わせください。

プロセスガイドラインVer3.0の体系図
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